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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(オ)11号 判決 1953年12月28日

埼玉県北足立郡片山村三三一七番地

上告人

並木伝三

右訴訟代理人弁護士

池田久

東京都北多摩郡清瀬村

被上告人

清瀬村農地委員会

右代表者会長

斎藤米蔵

右訴訟代理人弁護士

林徹

右当事者間の農地委員会の裁決取消請求事件について、東京高等裁判所が昭和二四年一二月二七日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があり、被上告人は上告棄却を求めた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由第一点について。

本件買収が自創法第三条一項一号の規定による買収であることは当事者間に争ない事実であり、原判決はこの事実を裁判の基礎としてなされたものであるから論旨第一点は採るを得ない。

同第二点について。

本件買収時における土地所有権者が上告人であるにも拘わらず父文吉の所有地として買収計画を立てたことそれ自体の違法であることは勿論であるが、これに基ずいてなされた買収そのものが上告人に対してその効力を及ぼすべきことも亦多言を要しないところである。(昭和二四年(オ)一七七号昭和二五年九月一九日第三小法廷判決参照)かるが故にこそ法律はひろく農地買収計画に定められた農地につき所有権を有する者に対して異議申立を許しているのであつて(自創法七条一項参照)、上告人もこれによつて本件買収計画に異議を申立たのである。されば論旨は理由なきものといわざるを得ない。

よつて民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官沢田竹治郎は退官につき署名押印することができない。裁判長裁判官 斎藤悠輔)

昭和二三年(オ)第一一号

上告人 並木伝三

被上告人 清瀬村農地委員会

右代表者会長 斎藤米蔵

上告人ノ上告理由

一、被上告人ノ為シタル昭和二十二年八月十日買収計画公告買収時期昭和二十二年十月二日ヲ以テ買収セラレタ

右ハ自作農創設特別措置法第三条第一項第一号ノ規定ニヨル買収ナリ

仍テ昭和二十年十一月二十三日現在ヲ以テ買収セラレタルモノデナイ

同日現在ノ買収ハ同法第六条ノ二第一項ノ規定ニヨラネバナラナイ

二、サレバ前示買収時ハ本件土地所有者ハ上告人デアル

夫レヲ訴外並木文吉所有トシテ為シタル前示買収計画ハ違法ナリ

ナントナレバ本件買収計画モ所有権ヲ国家ニ帰属セシムル売買契約デアルト思料スル

故ニ同法第七条同一項ノ規定ニヨリ右買収ノ效力ガ上告人ニ及ブト判示シタルハ認用ヲ誤ルモ甚ダシイ

三、右次第ノ如ク原審ハ法律ノ適用ヲ誤リタルモノデアルカラ上告ニ及ンダ

以上

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